イスラエル軍、ガザ最南部ラファへ大規模侵攻準備…米大統領は武器提供停止の可能性に言及
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【エルサレム=福島利之、ワシントン=淵上隆悠】パレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの大規模な侵攻に向け、イスラエル軍が準備を進めている。米国のバイデン大統領は8日、大規模な侵攻に反対する姿勢を改めて示し、米国製の武器や砲弾の供給を停止する可能性に言及した。
米CNNは8日、イスラエル軍がラファへの地上侵攻に向け、部隊を集結させていると報じた。衛星画像で確認された兆候が、これまでのガザへの地上侵攻開始時と酷似していると指摘した。
7日に撮影された衛星画像によると、イスラエル軍がラファ検問所付近で活動し、ブルドーザーが待機する場所に車両が集結している様子が確認された。昨年10月にガザ北部に地上侵攻した際、イスラエル軍はブルドーザーで境界のフェンスなどを壊し、続けて車両が突入した。
空爆も続いており、CNNはラファの病院の話として、8日の空爆で4人が死亡し、25人以上が負傷したと伝えた。国連職員によると、直近の48時間で約5万人がラファの北にあるハンユニスなどに避難した。
米国は大規模侵攻に強く反対している。バイデン大統領は8日、CNNのインタビューで、イスラエル軍はラファへの大規模な侵攻を始めていないとの認識を示した上で、「もし侵攻した場合、これまで使われてきた武器を供給するつもりはない」と述べた。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対し、「明確に伝えた」という。
イスラエルが米国が供与した爆弾などで人口密集地への攻撃を続けた結果として、「ガザで民間人が殺害されている」とも語った。防衛目的の兵器については支援を継続する考えを強調した。
オースティン国防長官は8日の上院公聴会で、イスラエルへの弾薬輸送を一時停止していたと明らかにした。米メディアによると、輸送が停止されたのは重量2000ポンド(約907キロ・グラム)の大型爆弾1800発などで、米政府は避難民が集中するラファでの使用を懸念していた。