尹大統領が一転、「対話姿勢」 1年9カ月ぶり単独会見 かつては…

ソウル=太田成美
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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が9日午前、10日で就任2年を迎えるのを前にソウルの大統領府で記者会見に臨んだ。尹氏の単独会見は、外国首脳との共同会見などを除けば2022年8月以来、1年9カ月ぶり。

 前回の単独会見は就任100日に合わせたものだった。「独善的」と批判される尹氏の政治姿勢が4月の総選挙で与党大敗につながったと指摘されており、「対話重視」への転換をアピールする狙いがありそうだ。

 尹氏は就任直後、メディアとの対話に積極的だった。大統領府に入る際などに足を止めて記者と短時間やりとりする「ぶら下がり取材」に対応した。歴代大統領では異例のことだ。

 だが半年後、一部のテレビ局による訪米時の報道を問題視。「偏向報道」を理由に、ぶら下がり取材は突然、「無期限中断」となり、姿を消した。

 文在寅(ムンジェイン)前大統領は、新年もしくは就任から1年ごとの節目の際には記者会見に応じた。その前任の朴槿恵(パククネ)元大統領も罷免(ひめん)される前年までは新年の記者会見を行っていた。両氏とも多かったとはいえないが、尹氏は歴代大統領の中でも特に少ないと批判されていた。

 一方で、特定メディアの単独インタビューを受ける姿勢が目立っている。昨年は新年にあわせて保守系朝鮮日報の取材に応じた。今年は公共放送KBSの単独インタビューで、大統領執務室を初めて公開するなど、和やかな雰囲気を演出。進歩系のメディアから「自身の立場を一方的に伝達した」(ハンギョレ新聞)との批判を浴びた。

 尹政権下では、2年前の大統領選の前に尹氏に関する虚偽の報道を行ったとして、放送局やインターネットメディアが検察による家宅捜索を受けるなど、メディアへの圧力ともとられる事態が起きている。野党からは「記者や報道機関への家宅捜索が日常的に行われている」(共に民主党の李在明(イジェミョン)代表)として非難する声が出ている。(ソウル=太田成美)

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