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米中西部サウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事(52)=共和党=が7日発売の自伝で、約20年前に問題を起こした1歳2カ月の猟犬を銃で殺処分したと告白し、「残酷だ」と反発が広がっている。ノーム氏は11月の大統領選でドナルド・トランプ前大統領(77)が副大統領候補に選ぶ可能性も指摘されていたが、米メディアはそれも消えたと報じている。
騒動の発端は、発売前の自伝を入手した英紙ガーディアンの4月下旬の報道だった。同紙によると、農家・酪農家であるノーム氏は約20年前、「クリケット」と名付けた猟犬の子犬を飼っていたが、訓練がうまくいっていなかった。狩猟の帰りに知人宅に寄った際、猟犬はトラックから抜け出し、知人の家畜の鶏を次々とかみ殺した。
ノーム氏は自伝で「犬は訓練された暗殺者のようだった。私はその犬を憎んだ」と記述。砂利採取場に連れて行って銃で殺処分したとして「気持ちの良いことではなかったが、しなくてはならなかった」と振り返った。「難しい決断ができる指導者」をアピールする狙いがあったようだ。
これに対して、同種の猟犬の飼い主らで作る団体は声明で「訓練を請け負う団体もあるし、別の飼い主を探すこともできる。撃ち殺す必要はない」と表明した。民主党の州知事らが「銃殺や砂利採取場とは無縁の愛犬の写真を投稿しよう」とソーシャルメディアで呼びかけ、バイデン大統領やハリス副大統領も愛犬との写真を投稿した。
ノーム氏は「自分の子供たちを危険から守るためだった」と釈明。かみつき癖があってホワイトハウスを追い出されたバイデン氏の愛犬の問題を持ち出し、「バイデン氏も責任をとるべきだった」と話題をすり替えようとしたが、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は6日の記者会見で「子犬を殺したと聞いて悲しかったが、さらに愚かな発言をした。ここは犬を愛する国だ」と批判した。
トランプ氏はこの自伝の推薦文を書いていたものの、米メディアは「トランプ陣営はトラブル発覚前から、ノーム氏を副大統領候補のリストから外していた」と相次いで報道。騒動の余波をかぶるのを嫌ったトランプ氏側がリークした可能性もある。【ワシントン秋山信一】
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