「いのり大佛」石巻に建立へ 東京・山谷の住職、費用集めに奔走

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平山亜理
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 東日本大震災の被災地・宮城県石巻市に、大仏を建立する計画が進んでいる。建立するのは「津波に負けないで、千年先まで手を合わせ拝めるように」との遺族たちの思いを込めた、石彫りの「いのり大佛」だ。その費用を集めるため、東京・山谷にある寺の住職が、全国を行脚している。

 活動を続けるのは、台東区清川の浄土宗光照院住職の吉水岳彦さん(45)。いのり大佛建立の意義を説いて資金を集める「勧進僧」の代表を務める。

我が子のいない世界に絶望、でも丸抱えしてくれる存在があれば……

 光照院は全国有数の「日雇い労働者の街」として知られる山谷に近いこともあり、吉水さんは路上で暮らす人たちの支援を続けてきた。2011年の東日本大震災の直後からボランティアとして被災地に入った。そこで、子どもを失った親たちの苦しい胸のうちをきいてきた。震災からどんなに時間が経過しても、我が子の夢を見て目が覚め、我が子がいない世界に帰ってきたことに絶望し死にたくなる――。そんなつらい思いを抱える遺族は多い。「苦しい時、複雑な気持ちを丸抱えしてくれる存在がほしい」という訴えをきっかけに、23年、「いのり大佛プロジェクト」が始動した。

 プロジェクトの代表は、石巻市にある浄土宗西光寺の住職樋口伸生さん。吉水さんは勧進僧代表として、このプロジェクトに関わっている。建立に必要な費用6千万円のうち、これまでに3千万円分の寄付が集まり、残りの約3千万円を募っている。

 建立場所は、石巻市の震災遺…

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