海自ヘリ墜落 訓練の背景に静かな潜水艦 ロシア研究・小泉悠氏

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東大先端科学技術研究センターの小泉悠准教授=東京都目黒区で2023年12月6日、和田大典撮影
東大先端科学技術研究センターの小泉悠准教授=東京都目黒区で2023年12月6日、和田大典撮影

 伊豆諸島・鳥島の東海域で4月20日夜に海上自衛隊のヘリコプター2機が墜落した事故は、「対潜水艦戦」を想定した訓練中に起きた。海上自衛隊が冷戦時代から対峙(たいじ)するのは、ロシアの潜水艦の脅威だ。「状況はより複雑になっている」。ロシア研究の第一人者、小泉悠・東京大先端科学技術研究センター准教授が変化する海中の攻防を語った。【聞き手・原田啓之、松浦吉剛】

 ――今回の事故は哨戒(パトロール)用のヘリ「SH60K」2機が墜落し、搭乗員1人が死亡、7人が行方不明になっています。安全保障の研究者として事故をどのように受け止めていますか。

 ◆軍隊が作戦を遂行すると、事故が起きるものです。特に対潜作戦(潜水艦に対する作戦)では、狭い海域に複数の哨戒用のヘリと飛行機が行き交って危ない。

 今回は、海上自衛隊で起きた事故としては規模が大きいですが、日本の防衛体制を揺るがすものではありません。

 ――近年、自衛隊のヘリや戦闘機の事故が相次いでいます。

 ◆ロシア軍も、ウクライナで戦争が始まって以降、事故なのか撃墜なのかよくわからない場合が多いのですが、とにかく落ちる航空機の数が激増しています。人間のやることですので、事故は避けられません。どこの国の軍隊も、(自衛隊で事故が続いたことで)日本の航空戦力が落ちているとは見ていないと思いますね。

 ――今回は対潜水艦の訓練でした。そもそも日本周辺で、他国の潜水艦による脅威はどの程度あるのでしょうか。

 ◆日本は、外国の潜水艦の動きが非常に活発な場所に位置している国です。…

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