連載

公文書で巡る英国史

英国立公文書館には11世紀以降の貴重な資料が収蔵されています。古い文書や写真を基に、英国史の「裏側」に迫ります。

連載一覧

公文書で巡る英国史

シェークスピアの遺言に残る謎 なぜ署名がバラバラなのか?

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
シェークスピアの遺言。英国立公文書館所蔵(PROB1/4)=2024年3月8日、篠田航一撮影
シェークスピアの遺言。英国立公文書館所蔵(PROB1/4)=2024年3月8日、篠田航一撮影

 その日、ロンドンの英国立公文書館で目にしたのは、茶色に変色した17世紀初頭の紙の複製版だった。筆記体なのでほとんど読めないが、3枚目には一つの署名が記されていた。「William Shakspeare」(ウィリアム・シャクスピア)。これこそ「ロミオとジュリエット」「リア王」など数多くの戯曲を残した劇作家シェークスピア(1564~1616年)が、遺言に残した署名だ。

 英国立公文書館の資料の中から見つけ出した英国史のエピソードを、全4回にわたってお届けします。
 1回目 電文に残るタイタニックからのSOS
 2回目 シェークスピアの遺言に残る謎
 3回目 架空の名探偵・ホームズへの捜査依頼
 4回目 チャーチルが渡した1枚の紙切れ

 シェークスピアには謎がある。実は、本人が書いた手紙や日記は一つも残っていない。作品の原稿もすべて劇団に売ってしまったとみられ、この遺言は…

この記事は有料記事です。

残り1471文字(全文1854文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月