ウクライナ侵攻に台湾有事を連想、薄れた2ナノ懐疑論 ラピダス秘録

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編集委員・大鹿靖明

ラピダス秘録:中

最先端の2ナノの半導体製造に挑む国策会社ラピダスが誕生し、北海道千歳市に急ピッチで工場建設が進む。先端半導体の開発競争からとっくに脱落していた日本が、なぜ復権を目指すのか。その舞台裏を探った=敬称略(全3回)

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 経済産業相の萩生田光一は2022年1月、初めて「最先端の次世代半導体について検討していきたい」と聞かされた。報告したのは商務情報政策局長の野原諭。萩生田は「TSMCを決めたばかりなのに、もう次の案件を持ってきたのか」と驚いた。台湾のTSMC誘致に巨額補助金を支出できるよう、前年暮れに5G促進法を改正したばかりだった。

 野原が上申したのは、そのころ彼なりの心証を得ていたからだった。極秘裏にできた「マウントフジ」チームが、米オールバニの視察から帰国。リーダーの小池淳義から「IBMの2ナノの先端半導体を日本でも出来そうです」と聞かされた。「進めていく上でいろいろ検討課題があり、詰めていこうと思ったんです」と野原。

「日本に2ナノはジャンプしすぎだ」

 だが、その話を聞いた自民党

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