税務署職員が育休中に転売、売り上げ2億円 「楽しくてやめられず」

福留庸友
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 仙台国税局は26日、福島県内の税務署に勤務する20代の男性財務事務官を、国家公務法違反(兼業の禁止など)で停職1カ月の懲戒処分にし、発表した。事務官は同日付で辞職した。

 同局によると、事務官は育児休業中だった2022年8月から24年2月の間、自動車62台と携帯電話4台を転売し、約2億円を売り上げたという。車はネットオークションや新車・中古車の販売店から購入し、転売していた。一番高く売れた車で1台約1200万円だったという。

 事務官は同局の聞き取りに、もともと車が好きで、中古車価格が高騰していることに注目し「もうかるのではないかと考えて始めた」と説明。いざ取引を始めると「車両の購入、納車、売却と楽しくて、悪いことだと分かっていたが、やめられなかった。大変申し訳ありませんでした」と話しているという。

 転売で稼いだ収入は生活費などに使っていたと説明。育児休業中は無給のため、共済組合からの給付金があったが、「大体半分ぐらいに収入が落ちている」状態だったという。

 同局によると、育児休業期間中も、公務員たる身分は保障されており、所属長の承認を得た一部の特例を除き、兼業は認められていないという。職員が不要の私物を売却することが即問題になるわけではなく、同局国税広報広聴室の安ケ平亘室長は「反復継続して売買することが事業とみなされ問題」とした。また、今回の件に関しては「もし仮に承認の申請があったとしても、認められないもの」と話した。福留庸友

マルサAの事件簿

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年4月27日6時28分 投稿
    【視点】

    もうこれ、率直にいって「公」のトップが手前勝手な理屈でやりたい放題をやっていて、それをいくら指摘されてもノーダメージのまま、という状況が恒常化しているから「じゃあ自分だって!」という気になってやってしまったのだろうなぁ、と感じる。だからとい

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年4月27日15時6分 投稿
    【視点】

    国家公務員法違反だったとのことだが、これは禁じられた兼業にあたるのだろうか。 国家公務員法第103条では、営利を目的とする企業や団体の役員等との兼業や自営業ができないと規定されている。同法第104条では、営利企業以外の事業の団体についても

    …続きを読む