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広島市安芸区の高台にある住宅団地「スカイレールタウンみどり坂」(約2200世帯7300人)と麓のJR瀬野駅を結ぶ交通システム「スカイレール」が30日、四半世紀あまりの歴史を閉じる。モノレールとロープウェーを組み合わせた世界でも“唯一無二”の交通機関だが、利用は低迷し、部品調達も困難になって廃止が決定。利用者からは別れを惜しむ声も上がる。
スカイレールは、神戸製鋼所と三菱重工業が開発し、レールにぶら下がったゴンドラをワイヤで引っ張って動かし、駅に入るとワイヤではなく、リニアモーターで加減速する。1998年8月、瀬野駅前のみどり口駅からみどり中街駅を経てみどり中央駅までの約1・3キロで開業。ゴンドラ1基の定員は25人。平均時速は約15キロ、片道約5分で上り下りする。運賃は大人で170円均一。
しかし、利用者数は当初予定の1日あたり5000人に届くことはなく、運賃収入が低迷。新たな交通システムとして期待されたが、他で導入されることもなく、部品の製作会社も廃業して維持は厳しくなった。
今後は、3月30日に団地内を走り始めた芸陽バス(広島県東広島市)の電気自動車(EV)バスに役割を譲る。
スカイレールの最終便は4月30日正午、みどり口駅とみどり中央駅をそれぞれ出発。25日、広島市佐伯区から家族で訪れた主婦(39)は「最後に映像に収めようと初めて来た。天気が良くて、ゴンドラから見た景色が最高だった。世界で唯一の乗り物なのでもったいない。なくなると思うとさみしい」と話していた。