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しゃぶしゃぶ食べ放題店“サイドメニューの充実化”が止まらないワケ。気になる店側の台所事情

 昔は、焼肉と同様にしゃぶしゃぶも高級料理的な存在で、家庭で食べる機会は、ほぼなかったと思う。1991年の牛肉の自由化で安価で日本人の嗜好にあった米国産牛が大量に入ってきたことで、それらを扱う外食産業は大きく発展した。そして、以前は高級料理で食べる機会がなかったしゃぶしゃぶが、一般大衆でも食べれるようになったのである。
和食さと

和食さと(筆者撮影)

牛肉の輸入自由化で人気爆発

 筆者が属した焼肉チェーンも、それまでは中間所得層をターゲットのニーズに合致した店づくりをしていたが、1995年に将来を見据え、若年層を顧客予備軍として開拓するために、しゃぶしゃぶ食べ放題を1980円で始めたのである。  人気の情報誌『関西ウォーカー』にも取り上げられ、店は若者を中心に殺到し、長蛇の列だった。ラーメン店などファストフード店と違って、しゃぶしゃぶ食べ放題は2時間の食べ放題だから、2時間も客が席に滞留するのに、それでもお客さんが諦めて帰ることがなく、ずっと待つなど異常な状態だった。  老舗焼肉店のブランドを持つ店が、低価格なしゃぶしゃぶ食べ放題を導入したことで、お客さんが「食べなきゃ損」と強い執念を持たれたのであろうが、店内外がパニック状態になり、大変な思いをしたことを記憶している

45%程度の原価率で利益は…

 筆者の店で提供したその頃の内容は、牛肉が食べ放題だけで、野菜の盛合せは1回きりの提供という内容だった。  だから、野菜などの追加は別料金だったが、それでもお客さんは満足そうであった。焼肉と違い、しゃぶしゃぶはお肉をお湯でくぐらせて脂を落とすから、たくさん食べられ、原価は焼肉食べ放題よりも10%程度高く、45%程度の原価率で諸経費も含めれば大した利益は出なかった。  ドリンクも注文されず、水だけでひたすら食べられると慈善事業で商売しているような感じもして、思い切ってワンドリンク制に制度変更したら客に舌打ちされるなど、嫌な思いをしたこともあった。
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しゃぶしゃぶ人気で新規参入者が続々と!
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