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世界大会で準優勝の実績を持つなど、女子相撲の選手として活躍する
今さんは3歳上の兄が町内の道場に通っていた影響で、6歳で相撲を始めた。すぐに頭角を現すと、鰺ヶ沢高校時代は世界ジュニア女子選手権の重量級で2連覇。立命館大に進学後は、2018、19年に世界選手権の無差別級で準優勝を果たした。大学時代には、自身に密着したドキュメンタリー映画「Little Miss Sumo」が公開されるなど、国内外で女子相撲界を
「相撲を世界に広めたい」との思いが芽生えたのは小学生の頃だという。道場の先輩が世界大会で入賞したことや、自身が海外の留学生と相撲を通して交流し、心を通わせた体験が原点だった。大学卒業後は、愛知県の実業団チームに所属。だが、22年の国際総合競技大会「ワールドゲームズ」の無差別級で準優勝すると「踏ん切りがついた」と気持ちが一段落した。子どもの頃からの願いをかなえるべく、青年海外協力隊へ応募することを決めた。
協力隊では、これまで相撲の指導で女性の派遣はない。応募条件も、大学や高校で相撲部に所属した経験がある、競技歴5年以上の「男性」だった。ただ、自身のドキュメンタリー映画がきっかけで、19年に英BBCの「今年の女性100人」に選ばれたり、大学在学中から国際相撲連盟の選手委員を務めたりするなど、これまでの活動が評価され、初の女性隊員として派遣されることが決まった。
JICAによると、1980年代から相撲競技が行われているアルゼンチンは、南米で強豪国として知られる。ただ指導者の多くが柔道経験者で、相撲の基礎を学んでいない。基本的な動作や技の名前が分からない人もいるという。
今さんは今月24日に日本を出発し、2年間、現地で指導や普及活動を行う予定だ。「地域や宗教、性別に関係なく、相撲は誰でも近代スポーツとして楽しめる。自分が青森で相撲選手として育ててもらった恩を現地で返したい」と話している。