イラン当局者、イスラエルのミサイル攻撃を否定…米当局者「核施設は標的ではない」
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【ワシントン=池田慶太、テヘラン=吉形祐司】米ABCテレビは米当局者の話として、イスラエルが現地時間19日にイランに対してミサイル攻撃を行ったと報じた。14日にイランから大規模攻撃を受けたことへの報復措置だという。報道によると、ミサイルはイラン領内に着弾した。
イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」に近いファルス通信によると、イラン中部のイスファハン北東近郊で現地時間19日未明に爆発音が3回聞こえた。原因は不明だが、現場にはイラン空軍基地と空港があり、イスラエル軍が攻撃した可能性がある。基地内で被害は確認されていないという。イスファハン市内の事務所の窓ガラスが割れたとの情報もある。メヘル通信も爆発音を伝え、防空システムが稼働しているとの現地住民の話を伝えた。
イラン国営通信は19日、イスファハンでの爆発音を伝えた。北西部タブリーズでも爆発音が聞こえたという。首都テヘランやイスファハン、シラーズなど国内西部、北西部、南西部の空港で、航空便の運航が中止されたと報じた。
一方、ロイター通信によると、イラン当局者は爆発音が防空システムによるものだとして、ミサイル攻撃を否定した。イランの航空宇宙当局者は「イランの防空システムが、小さな飛行物体の迎撃に成功した」とSNSで明らかにした。攻撃はミサイルや無人機によるものかどうか確認できていないという。
イラン国営テレビは、イスファハンの核施設が全面警戒態勢に入ったと報じた。爆発音が聞こえたイスファハンには、濃縮ウランの原料となる六フッ化ウランを生産する転換施設がある。
ただ、米当局者はCNNに対し、イスラエルはイラン領内を攻撃したが、核施設は標的ではないと述べた。CNNによると、イスラエルは18日、数日以内にイランに報復すると米国に伝えていた。米側は支持しない考えを伝えたという。
イスラエルのエルサレム・ポストは、シリアのメディアでも、同国の軍関連施設が標的になったとの情報があると報じた。
イランの革命防衛隊は14日、無人機約170機や120発超の弾道ミサイルなどでイスラエルへの攻撃に踏み切った。イランがイスラエルを直接攻撃したのは初めてだった。イスラエル軍は「99%」を迎撃したとしている。革命防衛隊は、1日に行われた在シリアのイラン大使館領事部ビルに対する空爆への報復だとしていた。
米国とイスラエルの高官は18日、イスラエルに対するイランの大規模攻撃を受けた対応を協議し、イスラエルの防衛強化に向けたパートナー国との協力について議論していた。協議には、ジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官やイスラエルのロン・デルメル戦略問題相らが出席した。