不通が続く肥薩線…復旧協議をしているのは「川線」の熊本、「山線」の宮崎・鹿児島は別に議論 JR九州

 2024/03/28 07:07
〈資料写真〉線路の土台部分が流出し、傾いたまま放置されるJR肥薩線の線路=熊本県球磨村(2023年7月撮影)
〈資料写真〉線路の土台部分が流出し、傾いたまま放置されるJR肥薩線の線路=熊本県球磨村(2023年7月撮影)
 2020年7月の豪雨被害で八代(熊本県)-吉松(湧水町)が不通になっている肥薩線について、JR九州の古宮洋二社長は27日の定例会見で、国と熊本県と協議を続けている復旧会合の対象区間は川線と呼ばれる八代-人吉(熊本県)と明らかにした。人吉-吉松(山線)は、沿線の鹿児島、宮崎県が加わる別の会議体が必要だとする考えを示した。復旧の際は、川線と山線が一体とする従来の考えを強調した。

 古宮社長は山線を「利用客の日常使いがほぼゼロ」と指摘。路線が熊本、宮崎、鹿児島の3県にまたがっている点を踏まえて「議論の方法は変わる。何らかの会議体で決めたい」と述べた。

 現在、川線を話し合っている国、熊本県との3者会合に鹿児島県と宮崎県はオブザーバーとして参加している。これまでに熊本県は、沿線自治体が線路などの施設を保有しJR九州が運行を担う「上下分離方式」や、観光での利用促進策を提案し、同社は受け入れ方針を固めている。

 一方で、会見では「列車は使ってもらうのが使命。熊本県の案には日常利用や持続可能性に疑問が残る」とさらなる努力を求めた。27日に予定していた3者会合は延期になり「双方が納得するまで期限は区切らない」と強調した。

 肥薩線全体の復旧費は現時点で、約235億円に上る見込み。