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センバツ高校野球1回戦(25日・甲子園)
○常総学院(茨城)1―0日本航空石川●
完封目前の常総学院のエース右腕・小林芯汰にとって最後の最後に試練が訪れた。しかし、終始、多投してきた「絶対的変化球」がまたも頼りになった。
1―0の九回、四球と安打などで1死一、三塁のピンチを招いた場面だ。119球目の初球。右打者に対し、小さく曲がる123キロの変化球を真ん中低めに投じた。狙い通り、引っかけさせて力のない遊ゴロを打たせると、中間守備の味方の好守もあって併殺に仕留めた。「本当にほっとした。力が抜けて自分のテンポで自分のボールを投げられた」。試合後のお立ち台でほおを緩めた。
エース右腕の被安打5、9奪三振の完封劇。180センチ、82キロのがっしりした体格から、小さめのテークバックで右腕を振る丁寧な投球が光った。しかし、捕手の片岡陸斗は「調子が良かったとは言えない」と振り返る。本来、小林は最速149キロを誇る剛腕であるが、この日の直球はほとんどが130キロ台中盤にとどまっていた。
小雨が降り、2日連続の順延も経た難しいコンディションでさえ渡ったのがカットボールだ。昨秋までは自慢の直球を投球の軸としたが、関東大会では打ち込まれて途中降板も味わった。センバツへは新たな武器である「絶対的変化球」が必要だと痛感したという。
シーズンオフに決め球にも、カウントを稼ぐ球にもなるカットボールの改良に着手した。毎日、いろんな握りを試した結果、親指を少し深く握ることで、回転数やキレが上がった気がしていた。最後の打者となった日本航空石川の河田拓斗は「すごく手元で曲がるので直球に見えた」。相手打線を惑わせるボールに成長を遂げた。
「きょうは小林の投球に尽きる」。かつての夏の甲子園大会準優勝投手で、DeNAで投手コーチも務めた島田直也監督もうなる快投だった。【長宗拓弥】
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