元ヤクザ、薬物使用も…異色の弁護士の生き方変えた出会いとは

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組員の離脱支援などに取り組む諸橋仁智弁護士=東京都台東区の弁護士事務所で2023年4月19日午後2時24分、安達恒太郎撮影
組員の離脱支援などに取り組む諸橋仁智弁護士=東京都台東区の弁護士事務所で2023年4月19日午後2時24分、安達恒太郎撮影

 元暴力団組員という異色の経歴を持つ弁護士が、自身の経験を生かして暴力団からの離脱支援や薬物事件の刑事弁護に取り組んでいる。東京弁護士会の諸橋仁智弁護士(46)は留置場で一冊の本と出会ったのをきっかけに弁護士を志し、約7年かけて司法試験に合格した。「元ヤクザで薬物使用者だった私だからできることがある」。そんな思いで、組員の立ち直り支援に走り回っている。

大学を中退し組員に

 福島県いわき市出身。大学進学を目指して都内の予備校に通っていた時、友人の勧めで覚醒剤に手を出し、密売にも関わるようになった。マージャン店で知り合った暴力団組員の「兄貴」と行動を共にするようになり、21歳で大学を中退して組織に入った。組長のかばん持ちを任され、肩で風を切って街を歩いた。「この道で生きていく」と思っていた。

 28歳の時、覚醒剤を使用した状態でトラブルを起こして警察に保護された。精神科病院に措置入院中、組織から破門を告げられた。「自分なりに組織に貢献していたと思っていたのでショックだった」。退院後、2005年に警視庁渋谷署に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕された。

転機は一冊の本との出会い

 落胆する中、留置場を訪れた母親が一冊の本を差し入れてくれた。…

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