旅立ちに向けての言葉 下條満代(琉球大学教育学部教授)<未来へいっぽにほ>


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下條 満代(琉球大学教育学部教授)

 3月は旅立ちの季節である。コロナ禍で登校や学校行事などを制限され続けた子どもたち。次のステージではさまざまな体験ができることを祈りつつ、小中高校、それぞれの卒業式に参列した。

 式では保護者や先生、在校生らに見守られながら、校長から子どもたちに旅立ちに向けての言葉が送られた。小学校では「夢を持ち続けてください。そしてその夢の実現のためにチャレンジしてください」、中学校では「自分や家族が幸せになるために学び続けてください」、高校では「多様性を認め合い、どんな時でも心は自由でいてください」というものであった。校長の言葉はどれも本当に素晴らしく、常に児童生徒を真ん中に据えて学校経営を行ってきた姿勢が表れていた。そして卒業生は、この大切なメッセージをしっかりと受け止め、未来の自分の姿を描いていた。

 子どもたちは小学校から中学校、中学校から高校、高校から大学などへと送り出される。その子どもたちと私は、大学で出会う。そして彼らを、子どもの成長を支える教員として養成し、社会に送り出す。

 沖縄県における19歳以下の子どもの人口は、約22%(総務省2022年)。その子どもたちが友人や先生、家族とさまざまな体験をしながら成長し、100%の未来を創造する。「平和で民主的な国家及び社会の形成者の育成」(教育基本法第1条)という、重要で魅力的な職業である教員を育てることの大切さを改めて感じながら、今、卒業式で彼らに送る言葉を考えている。

 今回をもちまして、私もこのコラムの執筆を卒業します。読者の皆さま、応援ありがとうございました。